Practical AI Series — Vol.3

走りながら描く
AIエージェントの設計図

作るものを現場で決め、1 ターンから組み立てる

技術は一通りある。API も叩ける。それでも手が止まるのは、何を作ればいいかが決まらないから。
本書は概念の整理ではなく、実在するシステムの設計図を最後まで見せることで、そこを抜けます。

Vol.4 は 2026年9月 発売予定/ 本書の発売日・形態・価格は決まり次第このページで

走りながら描く AIエージェントの設計図 表紙
17
9付録
50
441ページ(A5)

そして、いちばん厄介な失敗は、エラーを出さない。

— 第00章「図を 1 枚も持たないまま、17 万行になった」より

The Problem

止まるのは「どう作るか」の手前

AI エージェントの本は「どう作るか」から始まります。けれど中堅のエンジニアが実際に止まるのは、その手前です。 答えは要件定義書にはありません。現場の隣にしかない。

Wall 01
何を作ればいいかが決まらない

技術は一通りある。API の叩き方も分かる。それでも「うちの現場では何を作るのが正解か」が出てこない。作るものは、他人の一日を分で数えると出てくる。

Wall 02
設計図をどこから引けばいいか分からない

動くものはある。だが人に見せられる図がない。ER 図・クラス図・動作フロー図を、実物の規模で見た経験がないまま増やしている。

Wall 03
増やせない構造になってきた

1 つで動いた形のまま数を増やすと、必ずどこかで壊れる。ツールが 59 本、テーブルが 134 種になった日に壊れた場所を、先に知っておきたい。

Wall 04
検査は通るのに、結論だけが逆を向く

ログは成功、根拠も正しい。それでも答えだけが逆を向いて外へ出ていく。いちばん厄介な失敗は、エラーを出さない。

The Subject

題材は、実運用中の社内エージェント 1 本

架空名で Atlas(社内 SaaS)の ナビ(AI エージェント)と呼びます。 数字はすべて実測しました。社名・人名・製品名は全面的に架空のものへ置き換えていますが、規模と構造は実物のままです。

173,648
Python(330 ファイル)
59
LLM ツール(14 カテゴリ)
399
HTTP エンドポイント(45 ルーター)
134
DB テーブル
37
定時ジョブ
12
管理画面(最大の 1 枚が 306KB)
156,392
組み上がったシステムプロンプト
7 系統
入口(すべて単一の応答処理へ合流)

ORM もマイグレーションも無く、CREATE TABLE が 96 ファイルに散っていて、ER 図が 1 枚も存在しない。

— 本書はここを逆手に取り、後から図を起こす

完成した設計図の展示ではなく、後から図を起こす作業の記録です。読者は同じものを最小の 1 ターンから組み直します。

The Method

全 17 章を、この 5 段で通す

例外を作りません。前作は「1 つで動く側」、本書は「数が増えて壊れた側」+「図を後から起こす側」です。

1
現場の観察

要件定義書ではなく、他人の一日を分で数える。FDE の働き方を自分のチームへ向ける。

2
N=1 の設計図

最小実装と、最小の図。素の API 1 往復から積み上げて、まず 1 つで動かす。

3
N が増えて
壊れた場所

59 ツール・134 テーブル・12 画面・7 入口・37 ジョブ・156,392 字。実測値まで増やすと、どこが先に壊れるか。

4
だから今こう描く

図・スキーマ・実コード。図とコードの両方を主役にし、章あたり 2〜3 枚の図を必ず置く。

5
入れる/入れないの
判断表

各章末に「やってみる」を置く。判断を表にして残すので、自分の現場に当てはめ直せる。

背骨は「最初に描く 3 枚」

1 ターンのフロー図(03章)/ ER 図(07章)/ 承認境界の構成図(15章)。00 章で 3 枚を宣言し、16 章で 3 枚に戻ります。残り 14 章はその間を埋めるものです。

Table of Contents

目次 — 全8部 17章+付録9本

基礎 00–04 → 中級 05–10 → 上級 11–16 のランプ。各 Part 末には「図を描かなかった現場」の事故コラムを置いています。

Part 1決める
00
はじめに
図を 1 枚も持たないまま、17 万行になった
01
現場に張り付いて作る
FDE という働き方。作るものは要件定義書ではなく現場の隣にしかない
02
作るものを決め、効いたかを測る
規模ではなく段階で決める。効いたかの式は、作る前に決める
Part 21 ターンを作る
03
1 ターンの設計図
エージェントの芯は 1 本のループでしかない。素の API 1 往復から積み上げる
04
ツールという境界
1 個から 59 個へ。説明文はドキュメントではなく、毎ターン課金されるプロンプトの一部
Part 3呼ばれ方とつなぎ方を作る
05
入口は広く、中身は 1 つ
呼ばれ方は 7 つ、判断は 1 か所。3 秒の制約は非同期の形で吸収する
06
外部サービスにつなぐ
材料は自分の DB の外にある。取り方は 5 種類しかない
Part 4状態を作る
07
散らばった DDL から ER 図を起こす
ER 図が 1 枚も無いまま 134 テーブルまで来た現場で、後から図を起こす
08
状態をどこに置くか
同じ事実を三重に持たない。三重化した瞬間、精度は静かに落ちる
Part 5人が触れる面を作る
09
画面を割る
12 枚の役割と遷移。閉じる操作を持たない画面は、増える一方のリストを作る
10
1 枚を作り切る
306KB になるまで。ビルド工程を持たない選択が、どこから損に転じたか
Part 6畳み直す
11
内部構造の設計図
レイヤとクラス図。動いているが増やせない構造を、畳み直す
12
プロンプトと文脈の設計図
156,392 字は設計ではなく書き足された結果。値段は文脈の量で決まる
Part 7手を離す
13
無人で回す
ジョブと、鳴らない欠測。失敗は鳴るが「走らなかったこと」は鳴らない
14
緑のまま壊れる
検査は通り、ログは成功で、結論だけが逆を向いて外へ出ていく
Part 8渡す
15
委譲と、モデルが変わる日
1 体に 59 積むか、複数へ割るか。他人宛は必ず人が承認する
16
おわりに
設計図は成果物ではなく、現場で更新し続ける道具である
Appendix付録 — 9 本
A
題材システムと匿名化方針
行数・ツール・エンドポイント・テーブル・ジョブ・画面の内訳
B
ER 図全集と DDL 収集スクリプト
4 群の ER 図と、収集スクリプトの全文
C
ツールカタログ 59 本
名前・用途・引数・失敗時の戻り値の一覧とテンプレ
D
外部 API 設定手順書
スコープ・トークン・Webhook 登録の対応表
E
図の使い分け早見表
6 種類の図が「何を決める図か」と Mermaid の最小テンプレ
F
図を描かなかった現場
各 Part 末の事故コラム全収録
G
最小構成の起動手順
1 台で立ち上げるまで
H
読み分けと核の所有権
シリーズの他書との棲み分け・用語表
I
出典一覧
外から引いた 4 件と、引かなかったものとその理由
What You'll Get

1 つで動く設計図と、
数が増えた日に壊れた場所

  • 最小の ReAct ループ全文から、59 ツールのコンポーネント図まで
  • 散らばった DDL から ER 図を起こすスクリプトと、CI で図を腐らせない仕組み
  • 管理画面 12 枚の責務マトリクスと、1 枚を作り切る通し実装
  • 三値化(STOP / GO / UNKNOWN)で、緑のまま壊れる出力を送信口で止める

図は 50 枚。フロー図・シーケンス図・状態遷移図・ER 図・クラス図・画面遷移図の 6 種類を、 「何を決める図か」で使い分けています。

走りながら描く AIエージェントの設計図

写真は制作中のイメージです。ページ数・造本は最終版で変わることがあります。

Who It's For

こんな人に

中堅以上のエンジニア

技術は一通りあるのに「AI で何を作ればいいか」が決められない人。

設計図の引き方に迷っている人

社内エージェントを作れと言われたが、どこから図を引けばいいか分からない人。

増やせなくなってきた人

既にエージェントを動かしていて、構造が伸びなくなったと感じている人。

実物の規模の図を見たい人

ER 図・クラス図・動作フロー図を、サンプルではなく実運用の規模で見たい人。

前作『チームに溶け込むAIエージェント開発』を読んでいなくても読めます。ただし本書は前作と同じことを二度書きません

Same Series

同じシリーズの本

読む順序はありません。どの巻からでも単独で読めます。

Author

著者について

nzw
Hidekazu Nozawanzw
AI活用のチームマネージャー/SaaS開発のプロダクトマネージャー
PMP®

生成AIを用いたPoCや分析業務の傍ら、AIエージェントを設計・運用している。
バイブコーディング/AI駆動開発を日常的に実践し、AI と一緒に「機能」ではなく「伴走できる存在」を作ることに興味を持っている。
PMI日本支部のコミュニティ「AI@Work」に所属。

本書の題材は実運用中のシステムですが、社名・人名・製品名は全面的に架空のものへ置き換えています。 発売日・ページ数・形態・価格は変更になる場合があります。

本書の発売日は未定です

設計図を引く側(Vol.3)と、決める側(Vol.4・2026年9月 発売予定)。どちらからでも単独で読めます。

Vol.4 を見る シリーズ一覧へ 開発ノートを読む