Practical AI Series — Vol.4

PoCで終わらせない
AIプロジェクトの進め方

やらない判断・計測・本番化の実践ガイド

決裁は下りない。データがあるかは誰も知らない。効果の測り方も決まっていない。
理由ははっきりしています。AI エージェントは、発注できる対象ではない。 プロジェクトマネジメントの標準を、実務の記録の側から読み直します。

実装の作り方は書きません/ 載せるのは実際に出した指示文・設定・コマンドと、判断表・書式・チェックリスト

PoCで終わらせない AIプロジェクトの進め方 表紙
19章
8付録
27図
325ページ(A5)

判断材料を持たない人が、判断させられている。

— 第00章「発注できないものを、発注しようとしていた」より

The Problem

順序が、逆転している

通常の開発なら、何を作るかを決める人とそれを届けきる人を分けられます。 AI は違います。実現可能性が、データを見るまで、動かしてみるまで分からない。 すると「何を作るか」の決定が、データ理解やモデル評価の途中でしか下せなくなります。

Wall 01
発注できる形になっていない

仕様は現場の観察からしか出ず、価値は実データでしか測れない。要件定義書を書いて渡す、という手順がそもそも成立しない。

Wall 02
「データはあります」が信用できない

その返事は、ほぼ常に「テーブルはあります」の意味。行数・有効行数・鮮度・到達権限の 4 つを数えるまで、計画は立てられない。

Wall 03
PoC が溜まって、止まりも進みもしない

やらないものを落とせていないから資源が分散し、どれも本番に届かない。Gartner が挙げた中止の理由はコストの膨張・価値の不明確さ・リスク統制の不備の 3 つ(2025-06-25)。本書は中止率の予測そのものは引きません。

Wall 04
生成は速くなったが、検証は速くならない

人の誤りは間違って見えるが、AI の誤りは正しく見える。生成速度とレビュー速度の比が壊れていて、忙しい PM ほどその差で損をする。

The Twist

題名と中身の、意図的なねじれ

本書の題は「PoC で終わらせない」ですが、中身の半分は「終わらせる」話です。 00 章で最初に断ります。読者の期待を一度裏切ってから、なぜそれが同じことなのかを説明します。

PoC で終わらせないための最短経路は、終わらせるべきものを早く終わらせることである。

— 第00章「はじめに」より

02 章の「やらない理由を先に 3 つ書く」と、Part 5 の「畳む」は、残った 1 本を本番へ届けるための工程です。

The Method

全 19 章を、この 6 つの工程の順に並べています

例外を作りません。PM の職務は作ることではなく、作らない判断を安く下せるようにすることだからです。

1
誰の何が
困っているか

現場に張り付いて観察する。スコープ・費用・関係者の 3 つを握ったまま現場に入れるのは PM だけ。

2
やらない理由を
先に 3 つ書く

標準が立上げに置いたプロセスはいちばん薄い。その薄いところが、本書で最も重い。

3
データが存在するか
実測する

アジャイルのスプリントは前へ進む。データのスプリントは、後ろへ戻る。戻る回数が最も多い段。計画には、戻ってよい回数の上限と、当たったときの行き先を先に書きます。

4
小さく作って
本番へ通す

PM が手を動かす目的は実装力ではない。仕様の曖昧さを、実装が通るかどうかで判定すること。

5
作る前に決めた式で
測る

効いたかの式は、作る前に決める。後で決めると、必ず自分に都合よく決まります。

6
続ける/畳む/
人に返す

各章末の「やってみる」の直前に、この章のものをどうやって畳むかを 1 節置いています。

Table of Contents

目次 — 全5部 19章+付録8本

各章末には必ず「やってみる」を置いています。標準の用語は、章の中で 1 回だけ名前を出す目印であって、章の主役ではありません。

Part 1立場を決める
00
はじめに
発注できないものを、発注しようとしていた
01
PM が FDE になる
現場に張り付く権限は、もともと PM が持っている
02
やらない理由を先に 3 つ書く
立上げは、断る技術である
Part 2データから計画する
03
データスプリントは、機能スプリントではない
後ろへ戻る反復を計画に書けないと、全ての見積もりが外れる
04
データがあるかを、着手前に数える
行数・有効行数・鮮度・到達権限の 4 つを数えるまで計画を立てない
05
前提は数ヶ月で腐る
計画の再ベースライン。前提には「いつ引き直すか」を書く
06
費用は、モデルの値段では決まらない
渡している文脈の量と、枠の取り合いで決まる
Part 3作って通す
07
PM の朝を、1 コマンドにする
複数案件を横断して 1 枚にする。人間の起動そのものを消す
08
PM が書くコードは、仕様書の代わりである
動くものが、最短の仕様確認になる
09
頼む場所は多く、判断は 1 か所で
業務をまるごと描く。頼める場所を増やし、どこに人の承認を置くかを決める
10
稟議を通す
AI 案件の説明は、できないことから書く
11
値付けと解放範囲
社内にも「買う理由」が要る。使う条件・開く範囲・見せる範囲が価格表
Part 4測る・止める
12
効いたかの式を、作る前に決める
受益者 × 業務カテゴリ × 期間、そして信頼度。単価は推定せず申告させる
13
自分が書いていないものを承認する
「AI が書いた」は説明にならない。承認したら自分の成果物である
14
達成状態で完了を判定する
台帳が壊れる 3 条件。要望の「文面」ではなく「達成状態」で判定する
Part 5終わらせる
15
外へ届ける
何を書き、何を書かないか。載せない基準を先に持つ
16
共通化はいつ決めるか
横展開という終わらせ方。早すぎる共通化は、間違った抽象を固める
17
自分が抜けても回るか
畳む判断。作った本人が異動したら止まるものは、成果ではなく負債である
18
おわりに
PM が作れる範囲は、権限で決まる
Appendix付録 — 8 本
A
7 ドメイン × 6 フェーズ 対応表 全文
42 セル全部を判断つきで展開。本書の目玉の完全版
B
プロジェクトマネジメントの標準
7 パフォーマンス領域と 5 重点分野。第 8 版で本書に効いた変更点と、標準に足した 1 語
C
AI プロジェクトの 6 フェーズ
CRISP-DM の 6 フェーズ。どこで前フェーズへ戻るか。本書の 6 つの工程との違い
D
やらない理由の書式集
02 章の書式と、3 つの引き出しごとの弱い書き方・強い書き方
E
完了条件テンプレ集
「完了の定義」の 6 つの型と、レビューの落とし穴 8 点のチェックリスト
F
既刊 2 冊との読み分け
同じ出来事が別の本にも出てくる。どの本で何を読むか
G
用語表
役割の呼び方、この本に出てくるもの、AI とインフラの用語、紛らわしい対
H
出典一覧
各件に出典名・何を示すか・n と手法・発表日・取得日。採らなかった数字とその理由も
What You'll Get

通す線と、止める線を
自分で引けるようになる

  • やらない理由の書式集 — 3 つの引き出しごとに、弱い書き方と強い書き方を対にする
  • 着手前にデータを数える 4 項目と、そこから計画を引き直す手順
  • 効いたかの式のテンプレと、完了条件の 6 つの型・レビューの落とし穴 8 点のチェックリスト
  • 7 ドメイン × 6 フェーズ 対応表 — 標準の 7 領域と AI の 6 フェーズ、42 セル全展開

実装の作り方は書いていません。載せたのは、実際に Claude Code へ出した指示文、 ナビに与えたルール、サーバーで流したコマンド、設定のファイルです。 エージェントの作り方そのものは Vol.1 に譲りました。

PoCで終わらせない AIプロジェクトの進め方

写真は制作中のイメージです。ページ数・造本は最終版で変わることがあります。

Who It's For

こんな人に

事業会社の PM / PdM / PMO

AI 案件に巻き込まれ、可否を判断させられている人。

PoC が溜まっている組織の人

止め方も終わらせ方も決まっていないまま、本数だけ増えている人。

エンジニア出身の PM

「作らせる側」に回ったことに違和感がある人。

既刊を読んだ人

「作り方は分かった。で、それをどう通すのか」と思った人。

本書は標準の解説書ではありません。PM が手を動かした記録に、標準の名前を後から付け直した本です。

Same Series

同じシリーズの本

読む順序はありません。どの巻からでも単独で読めます。

Author

著者について

nzw
Hidekazu Nozawanzw
PoC で終わらせない、AI プロダクトマネージャー
PMP®

本業では、生成AIのPoCから自社SaaSへのAIエージェント導入までを担当している。
バイブコーディング/AI駆動開発を日常的に実践し、AI と一緒に「機能」ではなく「伴走できる存在」を作ることに興味を持っている。
PMI日本支部のコミュニティ「AI@Work」に所属。

本書は特定の標準化団体の公式書籍ではなく、著者個人の実務経験に基づくものです。 事例に登場する社名・人名・製品名は架空のものです。発売日・ページ数・形態・価格は変更になる場合があります。

2026年9月22日 発売

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